東濃檜のいろんなこと①

東濃檜のいろんなこと|2014月09月18日

【檜と書物】  えっ!檜は胸毛!?


世界に誇る建材!東濃檜を紹介するシリーズ。

第1回は書物から、檜と人の関わりを探っていきます。

檜は日本の書物の中でいつ頃から登場したのでしょうか。

日本最古の歴史書である古事記(712年)、そのあとに撰進された日本書紀(720年)を調べてみました。


では、古事記から。ありました!古事記 上巻3 天照大神と須佐之男命にて登場します。

スサノオが出雲の国にて老人と老女と少女と出会う場面。ヤマタノオロチの容姿の説明をするところに出てきます。

なんと、ヤマタノオロチの背中に杉と檜が生えていた!

【原文】↓

故、所避追而、降出雲國之肥上河上・名鳥髮地。此時箸從其河流下、於是須佐之男命、以爲人有其河上而、尋覓上往者、老夫與老女二人在而、童女置中而泣、爾問賜之「汝等者誰。」故其老夫答言「僕者國神、大山上津見神之子焉、僕名謂足上名椎、妻名謂手上名椎、女名謂櫛名田比賣。」亦問「汝哭由者何。」答白言「我之女者、自本在八稚女。是高志之八俣遠呂智此三字以音毎年來喫、今其可來時、故泣。」爾問「其形如何。」答白「彼目如赤加賀智而、身一有八頭八尾、亦其身生蘿及檜榲、其長度谿八谷峽八尾而、見其腹者、悉常血爛也。」


【現代訳】↓

こうして追放されたスサノオは出雲の国の、斐伊川の上流にある鳥髪というところに降りた。

そのとき、川の上流から箸が流れてきた。

そこでスサノオは川上に人がいると思い、それをたずねて、上っていくと、老人と老女が二人、少女を間に泣いていた。

そこで「おまえたちは誰だ」とおたずねになった。

すると老人が「私は国つ神の、大山津見(オオヤマツミ)の神の子です。

私の名は足名椎(アシナヅチ)といい、妻の名は手名椎(テナヅチ)といい、

娘の名は櫛名田比売(クシナダヒメ)といいます」と答えた。

また、「おまえはなぜ泣いているのか」と問えば、

「私の娘は、もとは八人おりましたが、高志のヤマタノオロチが毎年やってきて食べてしまいました。

今がやって来る時期なので、泣いているのです」と答えた。

そこでスサノオが「それはどのような姿をしているのか」とたずねると、

老人は「目はほおずきのように真っ赤で、胴体は一つで八つの頭と八つの尾を持ち、

背中は苔むし、檜や杉の木が生えていて、その長さは八つの谷、八つの峰にわたり、その腹はいつも血が滲んでいる」と答えた。


ヤマタノオロチはでかかった。


つづいて日本書紀。巻01/神代上にて登場します。

ここでの檜の扱い方から、この時期ではすでに木の特性を知り、使い分けていたことがうかがえます。

それでは、原文と訳を先に。


【原文】↓

一書曰、素戔嗚尊曰「韓鄕之嶋、是有金銀。若使吾兒所御之國、不有浮寶者、未是佳也。」乃拔鬚髯散之、卽成杉。又拔散胸毛、是成檜。尻毛是成柀、眉毛是成櫲樟。已而定其當用、乃稱之曰「杉及櫲樟、此兩樹者、可以爲浮寶。檜可以爲瑞宮之材。柀可以爲顯見蒼生奧津棄戸將臥之具。夫須噉八十木種、皆能播生。」于時、素戔嗚尊之子、號曰五十猛命。妹大屋津姬命、次枛津姬命、凡此三神、亦能分布木種、卽奉渡於紀伊國也。然後、素戔嗚尊、居熊成峯而遂入於根國者矣。棄戸、此云須多杯。柀、此云磨紀。


【現代訳】↓

一書に曰く、スサノヲ尊がいうには、

「韓(から)の国には金銀がある。もしも我が御子の治める国に、船がなかったならば良くないだろう。」

こう言って、次々と鬚(ひげ)を抜き取ったところ杉となり、胸毛を抜き取ったところ檜(ひのき)となり、

尻の毛は柀(まき)の木となり、眉の毛は樟(くす)の木となった。

さらにその用途を定め、提言して言うには、

「杉の木と樟の木と、この二つの木で船をつくるがよい。檜は、立派な御殿をつくる用材にする。

柀は、この世に生きとし生ける者の、墓の棺に用いるがよい。

食用となる数々の果樹の種子は、よく蒔いて育てなさい。」このように言った。

時にスサノヲノ尊の御子は、名をイソタケルノ命と言った。

その妹は、大屋津姫命(オホヤツヒメノミコト)。次に抓津姫命(ツマツヒメノミコト)。

すべて三柱の神も、よく木種(コダネ)を蒔いて歩いた。この三柱の神は、紀伊(き)の国に祭ってある。

このあと、スサノヲ尊は熊成(くまなり)の峰(みね)にいて、やがて根国(ねのくに)に赴いた

棄戸、此をばスタへと云ふ。柀、此をばマキと云ふ。

※河出書房新社版『古事記・日本書紀』参照


棄戸(スタへ)・・屍を棄てる瓮(へ)  樟・・・クスノキ

瓮(へ)・・酒や水を入れる器      柀・・・コウヤマキ


檜はスサノオ尊の胸毛でした!


また、檜は御殿の建材として使われていました。檜は香り豊かで、加工が容易な上に緻密で狂いがなく、

時間の経過とともに色艶に味わいがでてきます。また、切られてから200年は強度が増していきます。

他の建材はゆるやかに強度が弱くなる中で、檜は世界に誇る建材です。

スギとクスノキは船に。柀(マキ)は棺に使われており、それぞれ、発掘されたものから使用されていたことが確認されています


古代から日本人は、樹木の特性を知り、用途によって使い分けていました。

古代から延々と受け継がれている、知恵と技術。

歴史とともに培われた自然と人への優しさ、東濃檜と無垢の家。

東濃檜は、香り高く淡いピンクで、艶があり時と共に光沢が増し、加工性や強度に優れています。

そんな東濃檜を紹介していきます。


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木の家 事例集~撮影現場から~

建築レポート|2014月09月09日

フォレスタイルのホームページでは、個性あふれる住まいの数々を掲載しています。

今回は、この撮影現場を少しご紹介したいと思います。(Pick up事例29)


住宅が完成すると、事務局スタッフはカメラマンさんと共に、写真撮影にお邪魔します。

東濃ひのきをはじめ、ふんだんに木材を使用した室内に足を踏み入れると、

木の香りに包まれ何ともいえない心地よさを覚えます。


カメラマンさんは、ひと部屋ひと部屋丁寧にアングルを決め、最も魅力が伝わる一枚を求めて何度もシャッターを切ります。

時に、事務局スタッフの要望も取り入れてもらい、相談しながら撮影は進められます。

撮影風景①


家具も電化製品もないまっさらな状態を眺めつつ、これからお施主様がどのようにお部屋をコーディネートされていくのか…

想像が膨らみます。


下の写真は、このお宅の大きな特徴のひとつとなっている、2階階段ホールに設けられたフリースペースからの撮影風景です。

撮影風景②


ここは、お子さんがのびのびと遊んだり、本を読んだりできるように…との思いが込められています。

床がスノコ状になっているので、階下の気配が手に取るように感じられます。


一番時間を割くのは、それぞれのお住まいの顔である外観図です。

日中の明るい状態と空が薄暗くなりはじめた状態と2パターン撮影します。

特に、夕景の撮影では全窓から部屋の明かりが輝き、昼とは全く違った表情を見せます。

住まわれてからはカーテンをつけられるため、光と影のコントラストの妙を撮影できるのはこの時限り、貴重なものなのです。


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